何ゆえ、偏印や劫財や傷官は嫌われるのだろうか?

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世間一般では、「偏印(へんいん)」は嫌われています。「傷官(しょうかん)」も女性からは嫌われています。「劫財(ごうざい)」も持ってるだけで何だか金銭運が悪そうな気がしてきます。

 

しかし・・・

 

そんなことは、きちんと正しい四柱推命で視てみないと分からない。この偏印(へんいん)、傷官(しょうかん)、劫財(ごうざい)の人気の無さはいったい何なのでしょうか?おそらく字面(じづら)の悪さが関係しているのだと思いますが、字面(じづら)で安易に良しあしを判断するのは初心者の素人さんがすることです。正官(せいかん)なんて貴重な良い星だと信じ込んでる方もいるでしょうけど、正官なんて、自分自身を剋す星ですよ。自分自身をやっつける星が官星なんですよ。自分自身を弱めてる星が官星なんですよ。そんなに良い星とも限りませんよ。

 

偏印(へんいん)というのは、自分自身を強める星です。劫財(ごうざい)も自分自身を強めます。傷官(しょうかん)は自分自身からパワーを洩らして弱める(抜く、吸い取るような)星です。身弱(みじゃく)の命式で、日干を強めないといけない命式の人にとっては、偏印(へんいん)も劫財(ごうざい)も非常に大事な星なんです。身強(みきょう)の命式で、日干を弱めないといけない人にとっては、傷官(しょうかん)で、強い日干のパワーを洩らし弱めたほうが良い場合も多々あります。

 

例えばの例を少し挙げましょう。日干が乙(きのと)で身弱の人であれば、偏印(癸)や、劫財(甲)は1番必要な通変星になります。そして、1番、要らない通変星が正官(庚)です。食神(丁)も全く必要ないです。

 

分かりますか?偏印(へんいん)や劫財(ごうざい)が凶星なんて書いてる本やサイトが氾濫してますが、日干が乙(きのと)で身弱(みじゃく)の人は、1番、必要な良い通変星が偏印(へんいん)や劫財(ごうざい)なんです。このような初心者の方からしたら信じられないような判断が「四柱推命が当る、当らない」に繋がっていくわけです。

 

そして、このような見極め、決まりごとを殆ど知っているのがプロと言えます(知らないプロの人もいますが)。こういうことを知らない初心者や、なんちゃって四柱推命プロ、三柱推命プロは、いつまで経っても、偏印(へんいん)、劫財(ごうざい)、偏官(へんかん)、傷官(しょうかん)は間違いなく凶星(悪い星)と見て、空亡(天中殺)を良くない時期として鑑定する。それでは、いつまで経っても四柱推命が当らない。当るはずがありません。

 

日干が甲(きのえ)の身強の内格の命式で、秋月の生まれなら(申、酉、戌月)、庚の偏官(へんかん)が1番良い通変星です。正官(辛)では何の役にも立ちません(全くと言っていいほど役立たないのが正官です)。

 

日干が辛(かのと)で身強の内格の命式なら、壬の傷官(しょうかん)が最高に良い通変星です。壬(傷官)以外に、他の通変星は何も要らないと言っていいくらい、傷官(しょうかん)が最高の通変星になります(癸の食神では何の役にも立ちません)。食神(しょくしん)より、傷官(しょうかん)が良いです。

 

日干が壬(みずのえ)で身弱の内格の命式なら、癸の劫財(ごうざい)が非常に助けになる良い通変星です。そして、庚の偏印(へんいん)も良い通変星です(辛の印星ではあまり役に立ちません)。干関係上は、壬(みずのえ)に対して、辛(かのと)の印授は強める作用はありませんが、壬と辛の干関係自体は悪くありません。

 

以上、色々と書きましたが、上記のような考え方が、まっとうな四柱推命です。四柱推命の基本として大事ということです。偏印(へんいん)だから間違いなく悪い、劫財(ごうざい)だから財運を奪って悪いとか、そういう四柱推命は・・・本当に原始的(げんしてき)、古典的(こてんてき)、なんちゃってな四柱推命です。

 

あと、蔵干(ぞうかん)まで、ご丁寧に色々と出して、ここに正官がある、ここには正財がある、ここには印綬がある・・・・だから・・・・〇〇だ・・・・う~ん・・・そんなことやってたって、核心的な事柄(いつが良い、良くない、良い生まれなのか、そうでないか)は何も分からないと思うのですが。

 

 

※天干だけ通変星を出して、あとは地支(根)をよく見て、天干の強さを見極めて日干の強弱を判断する。そして格局を出す。そして喜神、忌神を出す。この一連の流れをすれば、四柱推命判断の準備は完了です。あとは大運、年運、命式を見ながら、縦横無尽にスラスラ解釈するだけです。

 

「正官とか印綬とか良い星が多くて、偏印や劫財は割と少ないから、まあ、割と良い運命だろうな・・・」

上記のような判断では全くアテになりません。

 

「年柱と月柱が空亡してるから・・・親縁、兄弟縁が薄いか・・・」

上記も間違いです。

 

「月柱に傷官が2つある・・。結婚縁が悪いのかしら・・・」

上記のような見方だけはしてはいけません。結婚縁は「傷官」だけで見るのではありません。

 

「命式に劫財星しか無い・・。金銭運は悪いみたいだ・・」

上記は、むしろ金銭運が非常に良い可能性が出てきます!

 

以上、色々と説明しましたが、「四柱推命」と言ってもピンキリです。日本にはレベル、程度の低い四柱推命が広まってます。そんなレベルの低い四柱推命ほど華やかで派手で楽しそうな雰囲気を醸し出してます。

 

※本当のまともな四柱推命は地味ですし、理論自体がややこしいですが良く当たります。しかし、一般の占いを楽しみたい方は、そんな四柱推命を敬遠します。

 

そのような程度の低い四柱推命は大衆化(エンターテイメント化)されてます。なぜ大衆化された四柱推命が広まっているのか。それは、「ビジネス(お金)」です。四柱推命をビジネス(商売)として考えた人間が、四柱推命の大衆化を行ったのです。

 

「四柱推命」を大衆化するためには、複雑な、ややこしい理論をできる限り、省く必要がありました。その結果、字面(じづら)の雰囲気やイメージで良し悪しを判断する四柱推命ができあがりました。その四柱推命は、誰もが簡単に判断できるというメリットはありますが、あまり精度が無いという致命的な欠点もあります。

 

そろそろ、空亡(天中殺)を思い切って捨ててみてはいかがですか?これまでの固定概念を捨てて、「本当の四柱推命」に飛び込んでみると、もっと四柱推命が面白くなります。四柱推命は当らないと面白くないです。一度きりの限りある人生、精度ある、そして面白い四柱推命を勉強しないともったいないです。

 

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